「厚岸での思い出」(その1)

福岡水産高校:押場 昭人
高校までは岡山で育ったのですが、大学生活と水産高校での教員生活、合計11年間を
北海道で過ごしました。その間札幌、函館、厚岸の3か所に住み、もはや第2の故郷で
ありながら、福岡に来てから修学旅行(スキー)で2回北海道を訪れただけのさみしい
日々を送っておりました。今回北海道大会をひかえ、望郷の念でいっぱいです。思い
出は尽きませんが、今回は厚岸での思い出(平成6年4月〜平成9年3月)を書きたいと
思います。
厚岸(あっけし)の語源は一説にはアイヌ語で「アッケシシ=かきのあるところ」(
厚岸漁業協同組合→厚岸町HPの語源はまた別の説)というほど牡蠣のおいしいところ
で有名ですが、牡蠣だけではなく海産物の宝庫です。海が荒れた次の日にはホタテや、
途中からちぎれた昆布が打ち上げられており、ちょくちょく拾いに行きました。そう
です。厚岸は昆布もまた有名です。早朝に一斉に出港する昆布船の出漁風景は壮観で
す。
私が勤務していた厚岸水産高校(当時)でも、みかんを入れるネットを海中にぶら下げ
るためだけに小型船で海にでる実習があり、何をしているのかと思いましたが、そこ
にホタテの幼生が入り込みそこで成長して袋から出られなくなることを利用した、よ
うするにホタテの栽培漁業実習だったのです。餌は雑草のように生える昆布です。
厚岸(北海道)の秋はその辺の川にわんさかと上ってくる鮭が壮観です。私も海岸から
の投げ釣り(河口制限があるため、制限範囲外の港湾や海岸等の釣りに限られる)を
初体験し、強い引きを楽しみ、幸運でないと食べられない(つまりオスメス1/2の確
率)「いくら」(もちろん下ごしらえして数日ねかせます)もいただきました。また、
さんまもこの時期厚岸に水揚げされますので、当時珍しかったくちばしの黄色い新鮮
なさんまの刺身に舌鼓をうちました。
その当時まで知らなかったのですが、ししゃもは、生まれた川に帰ってくる回帰性魚
類なのですが、世界中でも北海道南部の太平洋沿岸の一部、つまり釧路周辺の川にし
か上がってこないのです(「シシャモ」として売っているのは、大部分輸入品のカラ
フトシシャモ(カペリン)です)。釧路の居酒屋でオスの白子が入ったシシャモを食
べた時の感動は今でも忘れません。
 すみません、話が魚介類にかたよって長くなってしまいました。私の教師生活の原
点でもある厚岸水産高校のことを書きたいと思いますが、長くなりましたので今日は
ここまでにします。