◆新しいサークル活動の模索の時代へ

 私たちの日常の教育活動はミクロ・マクロのレベルを問わずたいへんな状況が進行しています。その中で、自分の研鑽を積み、また教師としての矜持を保ちつつ多くの仲間・同僚とつながっていくことは大切なことです。それが、自分の居る職場・学校づくり、ひいては地域を変えていくという「大きな物語」につながっていけばなお意味あることと思いますし、そうした観点を常に持ちながら私自身はサークル運動や組合運動をしているつもりです。ですから、私にとってサークル活動は極めて重要な意味があります。何とか高生研を残していきたいという思いをもっています。 
 しかし、同時に、時代に合った形に変わっていくことも重要だと思います。成熟した社会の中で価値観が多様化(混沌)しています。特定の主義・主張あるいは指標をもとに、つながりと仲間を求めて行動してもなかなか受け入れられない事態もありますし、そのことで仲間を求めることに躊躇することもあります。「主義・主張や指標」に基づく行動が通らないことはもどかしいことですが、時代の趨勢でしょう。しかし、空理空論は意味のないことであり、やはり私たちは徹底したリアリズムの中から課題を見つけ出し、まずは課題を共有している多様な価値観をもつ人々との「熟議」の中で行動の指針をみつけることが大切なのだと思います。その意味でも、サークルは現場や地域の課題に対応したものである必要があります。そして、熟議が可能な身軽さをもつことも必要です。
 次に、全国高生研の組織をリアルにみれば、全国500人の会員の組織把握をする書記局体制を維持できない状況があります。2012年問題の発端はまずはここにあります。それは人と金の問題です。これまでの書記局を担っていただいた方々には本当に感謝の念でいっぱいです。時に、中央集権型組織にみられるように、提案された方針や議事をめぐって野党的に指弾したこともあったと思います。今思えば、いろんなご苦労を顧みていないところもあって反省するのですが・・・。それはともかく、中央組織を今までの形で維持することは、もう不可能であると腹をくくって、違う形で出直すべきだと思うのです。もちろん、全国組織の良い側面で残せる部分は残しながら、職場や地域の課題に即応し、サークル参加者が自らの居場所であるとともに内向きではなく、他者や外(職場・地域・社会)に開かれた新しいサークルの形をめざすべき時代に来ているのではないかと思います。

◆私なら大阪高生研と全国高生研をこう変える・・・。
 基本は早蕨6月号に出ているとおりです。記事に言う「地方の自立」とは、地域の実情やあるいは地方自治体の教育行政に対応した地方高生研がゆるやかに全国でつながっていくというイメージです。

1.大阪高生研指標を設ける
 大阪は全国的にみても貧困がすすんでいます。また橋下知事のもと競争と差別・選別の教育がすすんでいます。生徒はたいへんです。教職員相互の分断、教職員と父母・府民との共同が破壊されつつあります。そうした課題とこれまでの高生研運動・生活指導運動にそった研究指標やサークルの方針をもちます。(総会ではつねにやってますが・・・)

2.全国高生研連絡協議会指標
 地方の高生研が指標づくりのもとになるような指標。これまでの生活指導運動をふりかえり、また今後を展望するような指標(『高校生活指導』指標)をつくる。

3.大阪高生研会費を年額5,000円とし、早蕨会員は2,000円とする。
 全国会費は徴収しない。ここは重要なポイントです。財政はやはり組織の基本。思い切って全国会費は徴収せず、地方は全国分担金を負担する形にします。各地方は会員のために財政を使います。財政的自立は組織的自立と表裏一体です。

4.全国会費を徴収しないので全国通信は発行しない。地方高生研通信(B4版1枚)を適宜メールで配信する。各地方の会員は、全国を網羅するMLに登録。そのMLに乗せて、各地方通信を配信する(大阪の「遠足」通信のようなイメージ)。HPも廃止する。かわって交流集会応援ブログをつくる。

5.全国大会にかわって全国高生研研究交流集会とする。
 全国交流集会は、各地方高生研が単独あるいは、ブロック単位で現地実行委員会を組織する。
 近畿・熊本・沖縄・関東・静岡・三重(東海)・青森・北海道・・・

6.全国委員会にかわって、全国高生研研究交流集会全国実行委員会を年2回開催する。


  世話役の地方高生研あるいはブロックは持ち回りとする。
  地方高生研は開催にあたって分担金を出し、財政状況の悪い支部への補助を行う。



7.機関誌『高校生活指導』は年3回発行。地方高生研が分担する。
  『高校生活指導』指標をかかげる。

8.必要があれば、全国高生研連絡事務局を各地方持ち回りで担います。

まだまだ、自分でも熟していないですが、多くの方々と熟議をして深めたいと思います。