出張シェフ

 僕は知る人ぞ知るイタリア料理のシェフでして、月に1・2回は自宅で「カフェ・ド・マキグチ」を開催しています。常連さんも来はりますし、飲み屋や旅先で知り合った人が来てくれたりもします。イタリアに入ったことがありませんが、いろいろと食べに行って勉強したり、プロの料理人に食べに来ていただいて、アドバイスをもらったりして腕を磨いています。奈良の春鹿という造り酒屋の社長とお話しした時に、「店をやるならカウンターで、席はひとケタにした方がいい。」なんて助言もいただいていますから、どこかで店をオープンした時はごひいきにしてください。
 料理はフルコース1本です。まず「魚と野菜のカルパッチョ」、あるいはシチューを器に入れて、パイでふたをした「坪焼きシチュー」か「スープ」からスタートします。次に「パスタ」を出し、その次は「魚の香草焼き」が定番です。「ピッツァ」を何種類か焼き、その後は鶏か豚のブロックを一度薫製し、一晩寝かせたものをローズマリーと一緒にオリーブオイルで焼いたもの、最後は「フルーツのワインソースがけ」などのドルチェで締めくくります。ただしお客さんのリクエストがあればもっと作りますから、うちの「カフェ」の営業はかなり長時間になります。一番長かった時は正午にスタートし、終わったのは夜中の3時ですから、延々15時間も飲みかつ食べていたことになります。
 (ここからようやく北海道の話になるのですが、)以前牧場で知り合った人が、今新得という町に住んでいます。道の畜産試験場にお勤めなので、実験で解体した様々な種類のお肉を常備しているんですね。で、毎年夏には僕が「出張シェフ」として行き、新得で「カフェ・ド・マキグチ」を開催するんです。7年前に始めていった時は1回だけだったんですが、お客さんに合わせて2日になり、3日になり、去年なんかは北海道にいた4日間全部、そこでずっと料理をしていました。一番の自信作は、羊の生肉を使ったカルパッチョで、これは皆さんに絶賛していただきました。また、庭で栽培しているハーブをたっぷり使ってソーセージを作ったり、そのソーセージ用の具材をお団子にして入れたグラタンも好評をいただいています。
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 次回は、その友だちの家の2軒隣りにある、とっても素敵なお宿の紹介をします。